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愛斗と行為に及んだ後、果てた私が次に目を覚ました時、隣で吐息を立てながら眠りにつく存在に安堵していた。
カーテンから差し込む光りは一切無く、時刻が夜になったのだと悟る。
ゆっくりと身体を起こして、散らばった洋服を掻き集める時、起こさない様にと細心の注意を払い、足音も立てずに部屋から出た。
リビングの方は照明が点いていて、話声が密かに聴こえてきたので、誰か居るらしい。
裸の儘、そろりと浴室へと滑り込む事に成功した。シャワーを出して、お湯が温まるまでに姿見の前で立ち尽くす。
....数時間前に付けられた無数の艶かしく赤々と残るその場所を指先で撫でた。
ちょっと見縊っていたのかな。と初回とは違う行為に戸惑ってしまった。
無知な童貞君を開発、調教するのは楽しいけれど、マゾだと思っていた男が実は化けの皮を被ったサドだとすれば、それはまたちょっと状況が変わってくる。
変な方向へと“情”が進まない事を祈るばかりだ。
巧い事、コントロールしないと後々面倒くさい事に巻き込まれる。それだけは御免。
暫くそんな事を考えていると、背後から湯気が立ち込めてきて、お湯が出来てきた事を知る。
汗と体液でべた付いた身体、そして秘部の中を丁寧に洗い流す。
生中出しはそれなりにリスクを伴うから、気を付けなければならない。
もしも“出来たら”それこそ一巻の終わりだ。
風呂場を後にして、自室へと戻ると真っ先にピルを服用した。
乾いた喉が水分を欲して、ボトルをはしたなくがぶ飲みしていると、スマホが密かに通知を知らせる。
「....フッ。」
無音の室内に、自分の声が木霊するのみ。
差出人は、不特定のものだが、それが誰からのものなのか一瞬で、察する事が出来るのは私だけ。
―――思ったよりも、嫉妬深い人ね。と心の中で囁く。
液晶画面には、“連絡しろ。”と短文。
「はあ、愉快なものね。」
鼻で笑いながら、ぐちゃぐちゃにアルファベットが羅列したアドレスの送り主に返事を返すと、私は着替えてリビングへと向かった。
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