泥酔と欲望

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 リビングでは波瑠がソファーに寝そべってテレビを眺めている。  それとダイニングテーブルに沢山の空き缶を並べて、うつ伏せで眠りにつく祐志の姿を捉えた。 「こんばんは....。」 「飯は?」  こちらに見向きもしないが、食事の事は矢鱈と気に掛けてくれる無愛想に、「まだです。」と返事を返すと、通常営業の気怠さで立ち上がった。  キッチンへと向かった波瑠が、調理を始める最中、テレビの音に紛れて、唸る祐志が気になってしまい、座りながらチラチラとそちらにばかり気が散ってしまう。  いつもは、夜中に酒盛りをしているというのに、今日は早い時間から酔い潰れていて、見ていられなかった。    俯せた顔が、密かに見えて、それが真っ赤になっているものだから、そこ等に居る酔っ払いのサラリーマンと変わらないわね。と幻滅してしまう。 「テーブル片付けて、置けないから。」  キッチンから波瑠に声を掛けられて、咄嗟に立ち上がり散らかった空き缶を集めてゴミ箱へと捨てた。  いったい一人で、何リッター飲んでんのよ。と冷めた視線を向けようとも、泥酔した男が気付くはずも無く。  すっかり片付いたテーブルに、出来上がった料理を並べた波瑠は、再び横になって、それを背後から見つめながら食事に手を付けていた。
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