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食べ終えてからも、二人の姿を観察していると、祐志は何度も崩れ落ちそうになるし、そんな姿を見慣れているのか、無関心な波瑠はバラエティ番組を見て、密かに肩を震わせている。
祐志は兎も角、波瑠に関しては一度身体を重ねているというのに、それ以降求めてくる事が無いから、変な感覚になってしまう。
何度目かの、冷っとさせられる祐志の寝相に、咄嗟に手が伸びて、対角線上に居る男の胸倉を掴んで、転倒を阻止する事に成功した。
ゆっくりと頭が上がり、薄目が開くとその瞳が私を視界に入れる。
「....ひ...な...?」
首を傾げて、私に今まで向けられた事の無いような愛おしそうな表情で、見つめてくる。
それに違和感を覚えて、咄嗟に掴んでいた手を離すと、案の定だが、祐志はバランスを崩して床へと落下していった。
その物音に驚いた波瑠が、俊敏に反応を示し駆け寄ってくると、大きな溜息を吐きながら祐志の身体を引き摺りなが廊下へと消えていった。
“ひな”って誰?と思ったが、私には関係の無い事。
だがしかし、あの表情を見るに、祐志が好意を抱いている人物に間違いはないだろう。
一人取り残されて、数分後に波瑠が戻ってきた。
「さっき聞いた名前、忘れて。」
無表情、無愛想な男も、この時ばかりは眉を若干垂らして困っている気がした。
あの名前は、タブーなのか.....。
「わかりました。」
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