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私たち三人は、佐伯さん主導の元で洒落たカフェ&レストランにやって来ていた。
王子いわく、秘書課の子にここのご飯が美味しいと勧められたので来てみたかったらしい。
だがしかし、外観といい内装といい....男性だけで入るには、かなりの勇気がいる店だ。
この中で唯一の女子の私でさえも、一人じゃ恥ずかしいファンシーな乙女空間に、目の前の山田さんと私は肩身の狭い思いをしていた。
そして、何故だか私の隣に座ってる佐伯さんは、いつにも増してキラキラスマイルを浮かべている。
いちごミルクが似合うこの店内で、瓶ビールを片手に飲む姿も映えますのね....。
「ごめんな突然。」
「いえ、別に....。」
そしてチラリと目の前の山田を睨む。
すると山田は私から目を逸らすと、不自然にも口笛を吹き始めた。
「この後の二軒目は、高野の行きたい店行こ?」
「....分かりましたっ。それじゃあ潰れない様に頑張りますね。」
さらっと誘われたよ....。この王子ほんとーに凄いっ。
でも、気兼ね無く話せる相手じゃないから緊張して鼓動が落ち着かない。
取り敢えずと、正気を取り戻す為に山田さんの顔を見れば、何故か小馬鹿にした様な気持ちの悪い視線を向けてきていた。
まるで、“愛しの佐伯とラブラブ出来て良かったね〜”とでも言ってそうな、そんなムカつく面だった。
「....っ痛ぁあ‼︎」
テーブルの下で、ガコンと物音を立てる。私の美脚が見事山田の脛を捉えた。
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