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「あ....明香....。」
ごってごてに着飾ったピンク塗れのお嬢様風の女。
煌びやかな金髪のロングヘアをゆるりと巻き、分厚く重そうな前髪は切り揃えられてる。
「久々じゃ〜ん。こんな所で何してんの〜?」
ぱっちりとした大きな瞳が、ギョロリと左右に揺れ、それは王子と私を捉えた。
何年か前に見かけた事のあるその女性は....
「何って、お前には関係ないだろ。」
佐伯さんの元カノだった。
元旦振りに聞いた佐伯さんの冷めた声色。
「えぇ〜。そんな冷たい態度取るんだ〜。へぇ〜。」
コツコツと迫り来るカモシカ並みの美脚。元カノが山田さんの真横でピタリと立ち止まった。
口元は吊り上がってるが、私を品定めする様な視線は、とてもじゃないけど穏やかとは言い難い。
ついでと言わんばかりに、山田さんを見る「あら、田中さんも居たのね〜。」と、興味無さそうに再び正面を向いた。
山田さんは佐伯さんの元カノの登場により、恐怖しているのだろうか、大分萎縮してしまってるみたいだ。
「もうお前とは別れたんだから、“俺たち”に構うな。」
「やあね〜。そんなに怯えちゃって....運命の再会だと思ったのは私だけ?」
何やら今は修羅場らしい。だがしかし、一気飲みした反動で、少しだけ身体が熱くなっていて、私は「すみませんが、仕事の話中なので席を外してもらったも宜しいでしょうか?」と目の前の強敵に立ち向かっていた。
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