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「知ってる?スーパーボールって高く飛ばすと願い事が叶うんだって。だから僕、大切なことを願おうとしたんだ。でも、どこかに飛んで行っちゃってさ」
「どんなお願いなの?」
「ひみつ。でも、大切な人にもらったものだからどうしても見つけたくて」
男の子のきらきらとした目があっという間に曇っていって今にも泣きそうに見えた。
「私も一緒に探してあげる」
「ありがとう!でも、きみ急いでいるんじゃないの?」
「習い事の帰りだから大丈夫だよ。この公園ならよく遊ぶから隠れそうなところ教えてあげる」
「ありがとう、えっと……」
「私、優宇」
「ありがとう、優宇ちゃん。僕は涼、よろしくね」
ぎゅっと強い力で手を握られた。まだ見つかってもいないのにとても嬉しそうな顔をする涼君になぜか私まで嬉しくなった。嫌いな鍵盤に一時間も向き合うよりちょっと見た目も爽やかでかっこいい涼君といた方がずっと楽しそう。それに願いが叶うってなんだかロマンチック。
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