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ピンクの傘。
いつもより多く、
雨が降ってたあの日も。
私は、〝忘れもの〟をした。
でも、その〝忘れもの〟が。
あんな悲劇を生むなんて。
思ってもみなかったんだ...............
***
数年前。
私、枢木ゆるり(くるるぎゆるり)が、
まだ高校生だった時のこと。
その日、午前中はパラパラと雨が降っていて。
しかも、その雨は、午後になってからは、
大雨警報が出るほどの大雨だったのに、
私は、幼なじみと3人で映画を観に出かけた。
映画を観終わって、
映画館から出ると雨は更に強くなってて。
もはや、視界不良というレベル。
『こっ、これ帰れる......の?』
そうひと言ぽつりと呟いた隣で............
『うわー、雨やっべーな』
『まじだ、重雄は傘ある?』
幼なじみの2人は、
なんとも軽いトーンの口調で話してたっけな。
私の幼なじみは、男の子が2人。
性別は違えど、
会う時は必ず3人でいるほど仲が良かった。
1人は、黒沼重雄(くろぬましげお)。
通称、しげちゃん。
もう1人は、砥山爽太(とやまそうた)。
通称、そうちゃん。
2人とも、
気さくで話しやすい性格だから、
学校でもモテモテだった.........なんて。
たぶん、2人は気づいてなかったと思う。
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