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特権校則
──特権校則。
私の通う高校には、そのように呼ばれる少し変わった校則がある。
この高校は地元ではそこそこの進学校で、地方の割には有名大学への合格率も高い。
進学校というと、いろいろ厳しそうに思えるかもしれないけど、決してそんなことはなく、比較的自由な校風で、理不尽に厳しい校則などはない。
だけど、この「特権校則」だけは例外というか……、別に厳しいわけではないからいいんだけど、とにかく、最初に聞いた時は冗談かと思った。
特権校則はその名の通り、特権の校則なのだ。
何の特権かというと、生徒会長の特権だ。
生徒会長はその在籍期間中だけ校則を一つ自由に制定できる権利が与えられる。
進学校ゆえに、生徒会長という面倒な役職に就きたがる人が現れず、何か特典があってもいいのではないかと、この権利が生まれたとかなんとか。噂なので事実かどうかは知らないけど。
そして、「自由に」といっても、もちろん限度はある。他の校則や教育カリキュラムを酷く妨げるようなもの、法律などに反するもの、特定の誰かの不利益になるようなもの、倫理的に問題のあるものなどは却下される。あと、お金がすごくお金がかかるようなものなどもダメらしい。つまり常識の範囲内で、ということだ。
そんなので何ができるんだろうと疑問に思うけど、私が入学したときの生徒会長は、「ネイル自由」という校則を作っていた。なんでも会長のお姉さんがネイリストだったそうで、練習台になってもそれをオフしないといけないのが嫌だったとか。確かに、当時の会長はいつも爪をキラキラとさせていて素敵だった。
その前は入学前なので聞いただけだけど、「五十音順の使用禁止」という校則で、会長は藍田という名前だったそうだ。毎回一番にされるのがよほど嫌だったのだろうなと想像できる。先生達は困っただろうけど。
調べると予想以上に自由で面白かった。歴代の特権校則を知りたくなってしまう。
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