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「あ、もう練習する?」
「敦貴がしたいなら」
「そうだよね、早く練習しちゃって、ゲームしたい」
おもむろに敦貴は、皇祐と距離を縮めてきた。
「肩を掴めばいいのかな? 頬に手を添えるとか?」
「わからないよ……」
「福田に聞いておけば良かったかな。むかつくけど」
むすっとした顔をして、皇祐の肩を軽く掴む。その瞬間、びくっと身体が跳ねてしまった。
「ごめん、痛かった?」
「そんなことはない」
じっと、皇祐の目を見つめてくるので、皇祐も敦貴の目を見返した。
いたたまれない。この後、どうすればいいんだ。
何もしなくていいと言われたが、この時間を持て余していた。混乱しながら、心臓が高鳴っている。
「コウちゃん」
「はい」
裏返った声を出していた。練習なのに、なぜこんなにも緊張するのか。
「キスする時って目瞑るらしいけど、瞑ったらどこに唇があるかわからないよ」
「そう、だよな」
思うように呼吸ができなくて、苦しくなる。
「じゃあ、コウちゃんだけ目瞑ってみて」
「うん……」
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