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思い起こせば、昔から女性には興味がなかった。
勉学に励んでいるから、それどころじゃないと自分の中では完結していた。
だけど、違ったのだろう。
中学の頃、バスケット部のキャプテンだった男性の先輩に憧れていたことがあった。
同じクラスメートの男子も「かっこいいよな」と言っていたから、自分の感情は普通なのだと思っていたのだ。
敦貴は、はじめてできた友だちで、こんなにも一緒に過ごしている人は他ではいない。
家でも一人でいることが多いため、家族よりも傍にいる時間は長いだろう。
敦貴が隣にいるだけで、安心して心が満たされた。その反面、そわそわと落ち着かなかったり、頭の中がぼんやりすることもあった。
勉強に集中していても、ふっと彼のことを考えてしまう。
だけど、その瞬間はふわふわと夢のようで、心が癒され、喜びが溢れてくるのだ。
――僕は、敦貴が好きなんだ。
それは友だちとしてではなく、恋愛感情だった。
この日、敦貴に触れたいと考えて、そう自覚した。
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