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 敦貴の部屋に行けば、今回も山盛りのお菓子とジュースが用意されていた。  彼は、美味しそうに口の中にお菓子を頬張りながら、嬉しそうにしている。その様子を見ているだけで、皇祐は幸せな気持ちになった。  しかし、敦貴が彼女と関係を持つために、これから自分が犠牲にならないといけない。考えるだけで憂鬱になった。  敦貴を喜ばせたい気持ちはあるが、協力することには踏ん切りがつかなかった。  断ったら、敦貴は困るだろうか。  そんなことを思いながら皇祐は、目の前のお菓子を摘まもうとした時、急に敦貴に両肩を掴まれ、床に押し倒された。力強い手つきに戸惑った。 「な、なに?」  あまりの驚きで、変にうわずった声を出してしまう。 「エロ動画で、こうやって押し倒してたんだよね」  皇祐を押し倒したまま、敦貴は平然とした顔で言う。  どうやら、敦貴の中では練習がすでに始まっているようだ。 「これは良くないと思う。冗談だってわかっている僕でも怖いよ」  思ったことをそのまま伝えただけだったが、否定されたことが気に食わなかったのか、少し不貞腐れた表情を浮かべている。 「えー、じゃあ、どうすればいいの?」 「優しくした方がいいんじゃないかな。お互い初めてだろうし」 「優しく? こんな感じ?」  皇祐の頬に敦貴の右の手のひらが、壊れ物を扱うようにふんわりと触れてきた。 「コウちゃん」    甘い声で名前を呼ぶものだから、照れくさくなる。  「ぼくの、名前呼ばなくてもいいだろ」 「だって今の相手は、コウちゃんだし」  もう片方の手は、頭をよしよしと撫でてくる。  彼女に、こうやって触れるのか。  そう思ったら、喉の奥がつっかえるように苦しくなった。  敦貴は皇祐をやんわり抱きしめてくる。   「ねえ? どう?」  首筋に敦貴の吐息がかかって、むずむずした感じがする。  首をすくめれば、今度は敦貴の大きな手が脇から徐々に下へ移動していく。ビクッと身体を震えさせると、敦貴がクスッと笑った。 「くすぐったい?」 「少し……」 「くすぐったいなら意味ないよね。オレの触り方が悪いの?」  今度は指先でつつっと動かして、ワイシャツの上から肌に触れてきた。身体がビクビクと反応するのを止められない。  敦貴の方はお構いなしで、皇祐のネクタイを緩め、ワイシャツのボタンを外していく。 「え?」  皇祐は驚きを隠せなかった。 「触りながら脱がした方がいいってエロ本に書いてあったんだけど」  自信ありげに敦貴は言う。  「本当に脱がさなくても」    敦貴の腕を掴んで制止しようとすれば、皇祐から逃れて再びワイシャツに手をかけてくる。 「えー、本番で緊張するもん。いいでしょ?」  ボタンを全部外され、ワイシャツをガバッと開いた。 「コウちゃん、中にTシャツ着てるんだね」 「もう、いいって」 「女の子は下着つけてるから、それを外すのが大変なんだって」  そう言いながら、Tシャツをめくって中に手を入れてくる。
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