33人が本棚に入れています
本棚に追加
敦貴の部屋に行けば、今回も山盛りのお菓子とジュースが用意されていた。
彼は、美味しそうに口の中にお菓子を頬張りながら、嬉しそうにしている。その様子を見ているだけで、皇祐は幸せな気持ちになった。
しかし、敦貴が彼女と関係を持つために、これから自分が犠牲にならないといけない。考えるだけで憂鬱になった。
敦貴を喜ばせたい気持ちはあるが、協力することには踏ん切りがつかなかった。
断ったら、敦貴は困るだろうか。
そんなことを思いながら皇祐は、目の前のお菓子を摘まもうとした時、急に敦貴に両肩を掴まれ、床に押し倒された。力強い手つきに戸惑った。
「な、なに?」
あまりの驚きで、変にうわずった声を出してしまう。
「エロ動画で、こうやって押し倒してたんだよね」
皇祐を押し倒したまま、敦貴は平然とした顔で言う。
どうやら、敦貴の中では練習がすでに始まっているようだ。
「これは良くないと思う。冗談だってわかっている僕でも怖いよ」
思ったことをそのまま伝えただけだったが、否定されたことが気に食わなかったのか、少し不貞腐れた表情を浮かべている。
「えー、じゃあ、どうすればいいの?」
「優しくした方がいいんじゃないかな。お互い初めてだろうし」
「優しく? こんな感じ?」
皇祐の頬に敦貴の右の手のひらが、壊れ物を扱うようにふんわりと触れてきた。
「コウちゃん」
甘い声で名前を呼ぶものだから、照れくさくなる。
「ぼくの、名前呼ばなくてもいいだろ」
「だって今の相手は、コウちゃんだし」
もう片方の手は、頭をよしよしと撫でてくる。
彼女に、こうやって触れるのか。
そう思ったら、喉の奥がつっかえるように苦しくなった。
敦貴は皇祐をやんわり抱きしめてくる。
「ねえ? どう?」
首筋に敦貴の吐息がかかって、むずむずした感じがする。
首をすくめれば、今度は敦貴の大きな手が脇から徐々に下へ移動していく。ビクッと身体を震えさせると、敦貴がクスッと笑った。
「くすぐったい?」
「少し……」
「くすぐったいなら意味ないよね。オレの触り方が悪いの?」
今度は指先でつつっと動かして、ワイシャツの上から肌に触れてきた。身体がビクビクと反応するのを止められない。
敦貴の方はお構いなしで、皇祐のネクタイを緩め、ワイシャツのボタンを外していく。
「え?」
皇祐は驚きを隠せなかった。
「触りながら脱がした方がいいってエロ本に書いてあったんだけど」
自信ありげに敦貴は言う。
「本当に脱がさなくても」
敦貴の腕を掴んで制止しようとすれば、皇祐から逃れて再びワイシャツに手をかけてくる。
「えー、本番で緊張するもん。いいでしょ?」
ボタンを全部外され、ワイシャツをガバッと開いた。
「コウちゃん、中にTシャツ着てるんだね」
「もう、いいって」
「女の子は下着つけてるから、それを外すのが大変なんだって」
そう言いながら、Tシャツをめくって中に手を入れてくる。
最初のコメントを投稿しよう!