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ラーメン屋に向かう途中も、そのテンションのままだ。皇祐の隣を歩きながら、敦貴が一人で喋っている。前を歩く男友だち三名にも、すかさず話を振り、場を盛り上げていた。
それは自然にやっていることで、前を歩く男子たちが、皇祐がいることに対して不満そうにしているのは、まるでわかっていないようだった。
店にたどり着くと、敦貴の予想通り混んでいて、長蛇の列になっていた。ほとんどが制服を着た学生なのは、やはり価格が百円で安いからなのか。
「待つのめんどー。早く食べたいからイライラするんだけどー」
列に並んだ途端、仏頂面で敦貴が文句を言った。
「仕方ねーだろ、じゃあ、諦めるか?」
友だちの一人が、苛立ちを表情に出す。
「どのくらい待ってるか、誰か店に行って見てきてよ」
「アツキが行けよ」
「また戻ってくるのダルいもん……」
「じゃあ、おとなしく待ってろ」
皇祐は、敦貴たちのやり取りをハラハラしながら見守っていた。そのまま喧嘩になりそうな勢いだったからだ。
「コウちゃんは、待つの平気?」
急に話を振られたので、驚いて上擦った声を出す。
「ああ、平気」
「そーなんだ。それなら、順番待とうー」
面白くなさそうな顔をしていた敦貴だったが、友だちたちとも喧嘩することなく、おとなしくなったのでほっとする。
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