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それでも初めて見るハーキュリーズのステージの迫力には、大興奮した。間近で見るギターの演奏の素晴らしさに感動し、あっと言う間に時間が過ぎた。
ライブの後、瞬とユカは、同じ建物の中のホールに踊りに行ったので、英と浩人が残された。
「ジュースでも飲もうか?」
浩人の誘いに、英はこっくりと頷いた。しゃべると声で男の子だとわかるので、あまり話すな、と兄から釘を刺されていた。
飲み物を頼んで、二人で奥まったボックス席に座ると、回りはカップルばかりだった。体をぴったり密着させている男女もいる。中学生には刺激の強すぎる光景が、広がっていた──
その雰囲気に流されるように、浩人が英の肩に手を回してきた。
小柄な英の体は、浩人の腕にすっぽり収まった。ワンピースの衣擦れの音がする。英はドキドキした。心臓の音が聞こえそうな程、浩人の体が近付いてきたのだ。そしてギュッと抱き寄せられた。
「あっ・・・」
「英ちゃん、可愛いね・・・」
低い声で耳元で囁かれて、頭がぼうっとなった。
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