第一章 出会い

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 90分後、チャイムの音が鳴り響いた。 「よし、時間だ。今日はここまで」  20名ほどの受講生は手にしていた木炭をイーゼルの桟に置いた。 「明日、講評するから」 「はーい」  生徒たちはぱたぱたと道具をしまい、次々と部屋から飛び出していった。  12時45分。  早く昼メシにありつきたいんだろう。 「これ、ありがとうございました」  昴はスケッチブックと鉛筆を返しにきた。 「ああ、その絵は持って帰ればいいよ」  貴臣がそのページを破って渡すと、昴は笑みを浮かべて礼を言った。 「で、どうするの?」 「はい。決めました。明日から受講したいです。途中参加でも大丈夫ですか」 「まだ始まったばかりだから、充分ついていけると思うよ。じゃあ、一緒に受付まで行こうか」 「はい」    部屋を出ると、数名の女子が廊下に残っていた。  昴に話しかけたそうにモジモジしている。  が、近寄りがたいのか、こっちにはやってこない。  羨ましそうな顔で貴臣を見ている彼女たちに「また明日な」と声をかけ、受付に向かった。  
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