第一章 出会い

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 デザインを専攻した彼女は、卒業後、この近くにあるデザイン事務所に就職した。  業界では名の知れたところで、七海は高倍率の就職試験を勝ち抜いた。  学生時代からエネルギッシュだったけれど、最近、その性格にますます磨きがかかっている。  道路を渡り、オフィスビルの一階のカフェに向かった。 「講師の仕事はどう?」  黒い麻のノースリーブ、白のジョガーパンツ、髪を低めのポニーテールにまとめていて、いかにも最先端の仕事をしてそうな七海は、こういう小洒落たカフェがとてもよく似合う。  一方の貴臣は、七分袖のシンプルなシャツに黒のアンクルパンツ、素足にスニーカー。シンプルだけれどセンスを感じさせるコーディネートだ。  傍目(はため)には、今どきの都会的カップルだろう。 「俺はまだ1,2年生を教えているからいいけど、先輩は受験生クラスを持たされて、大変らしい。そっちは?」 「あいかわらず忙しいよ。プレゼン準備に徹夜、通れば通ったで徹夜。もうブラックすぎ」  と文句を言いながらも、表情には望んだ仕事についた自信がみなぎっている。 「身体壊さないように気をつけろよ」 「うん。ありがと」  七海は思ったことはなんでも口にするタイプで、心を推し量ったりする必要のない付き合いができる。  そんな関係が、貴臣には心地良かった。
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