第二章 例外

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「同じチェーン店が学校の近くにあるんだけど。チャーシューがめっちゃうまいんですよ」  暖簾(のれん)をくぐりながら、昴はそう説明した。  たしかに美味いラーメンだった。    麺は細からず、太からず。  丼から溢れんばかりの自家製チャーシュー、ほうれん草、メンマ、それに煮卵。  定番な取り合わせだが、とにかく鶏ガラで取ったスープと昴おすすめのチャーシューが最高にうまかった。  昴は高校生男子らしく、豪快に麺を頬張り、スープをすすり、あっという間に平らげた。 「あー、うまかった」 「もう一杯ぐらい行けそうだな」 「いや、もう腹一杯。ね、チャーシュー、絶品だったでしょ」 「そうだな。たしかにうまかったな」  会計を済ませて表に出ると、昴はペコっと頭を下げた。 「ごちそうさまでした。あー、思い切って、先生に声かけて良かった」 「家はどこ?」 「えっと葛西です」 「じゃあ、東西線か。俺もだけど反対方面」 「どこですか?」 「落合」 「落合って、行ったことない」 「知り合いでもいなければ、わざわざ行かないとこだからな」  地下鉄の改札を通り、左右のホームに別れる直前、昴がスマホを出した。
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