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〈subaru〉
1週間、デッサンクラスに通い、毎日、小川先生と接して、わかったことがある。
教師には大まかに二つのタイプがある。
気さくに生徒と交わる人と交わらない人。
小川先生は完全に後者だった。
明らかに生徒とのあいだに壁を作っていた。
だから、生徒と個人的な付き合いはしない人だと思いこんでいた。
でも、昴は貴臣と他の生徒以上に親しくなりたかった。
それで、ひと芝居打つことにしたのだ。
あの日、渋谷で見かけてから、先生のこと、ひとときも忘れたことなんてなかった。
なのに、「なんか見たことがある人だ」なんて、覚えてないふりをして。
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