第二章 例外

8/27

95人が本棚に入れています
本棚に追加
/98ページ
〈subaru〉  1週間、デッサンクラスに通い、毎日、小川先生と接して、わかったことがある。  教師には大まかに二つのタイプがある。  気さくに生徒と交わる人と交わらない人。  小川先生は完全に後者だった。  明らかに生徒とのあいだに壁を作っていた。  だから、生徒と個人的な付き合いはしない人だと思いこんでいた。  でも、昴は貴臣と他の生徒以上に親しくなりたかった。  それで、ひと芝居打つことにしたのだ。  あの日、渋谷で見かけてから、先生のこと、ひとときも忘れたことなんてなかった。  なのに、「なんか見たことがある人だ」なんて、覚えてないふりをして。
/98ページ

最初のコメントを投稿しよう!

95人が本棚に入れています
本棚に追加