第二章 例外

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 七海と同じ方向に戻るので、並んで歩いていた。  よほど参っているのか、彼女は腕を絡ませてくる。  特に断る理由もないので、そのままにしていた。  そうして書店の前を通ったとき、ちょうど買い物を済ませた昴とドアのところで出くわした。 「あれ、遠野」 「あ、小川先生」 「買い物か?」 「あ、えっと、参考書買わなきゃいけなくて……」  昴は生返事で貴臣と七海の顔を交互に見て、それから「じゃあ」と言って頭を下げると、足早に立ち去った。 「誰?」 「クラスの子」 「なんか、凄みのある美形だった」 「凄み? そんなふうに感じたことないけどな」 「じゃあ、たぶん気のせいね。ちらっと見ただけだし。あ、そうだ。わたしも本屋に寄ってく」  午後の授業まで、あまり時間がなかったので、七海とはそこで別れた。  歩きながら、彼女はただの友人だと昴に言っておこうかと思い、いや、そんな必要はまるでないよなと、即座に自分の考えを否定した。
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