第二章 例外

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 木炭の使い方にも慣れ、モノトーンのグラデーションの美しさが際立っていた。  まだ、かすかな兆しでしかない。  でも機が熟したら、一気に才能が開花するのではないか。  貴臣にはそれがひしひしと感じられた。  テクニックに関してだけ言えば、まだ及第点はつけられない。  けれど、人を惹きつける力があるという点では、他の生徒に引けを取らない、いや、勝っているかもしれない。  ここでやめてしまうのは惜しい。  あと1年鍛えれば、国立芸大合格も夢ではないだろう。  貴臣には珍しく、熱心に勧めたい気分になっていた。 「二学期になってもこのクラスは続くから、通ってくればいいよ」 「学校始まったら無理。来られないです」 「俺個人としては、ぜひ続けてほしいけどな」 「えっ?」  昴は驚いたように顔を上げ、一瞬、瞳をきらめかせたが、その光はすぐに消え失せた。 「そりゃ、俺だって続けたいけど……」  長いまつ毛が目の下に影を落としている。  あまりにも元気がないから気にはなったが、授業中なので、彼だけに構っているわけにもいかない。  貴臣は、彼の肩をポンと叩くと、その場を離れた。
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