第二章 例外

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                                                                                                                                                     玄関に向かっていこうとする昴の背中に、貴臣は思わず声をかけた。 「じゃあ……俺が教えてやろうか」 「えっ?」  昴は振り向いた。  目を見開いている。  貴臣の提案があまりにも意外だ、と言う顔だ。  気の迷いでないとわからせるために、さらに言い足した。 「時間があるとき、ここに来てくれるなら」 「でも……そんな、迷惑だし」 「デッサンを教えるぐらいの時間は取れるよ。院生だから毎日、大学に行くわけでもないし、2学期になったら予備校の授業も減るし。日曜は基本休みだし」 「先生が教えてくれるなんて、そんな……ありがたいことないけど」 「じゃあ、決まりだな。別に学校じゃないから、遠野が来たいときに連絡してくれればいい」 「本当に?」  昴は潤んだ目を向けた。 「ああ」
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