第三章 急接近と突然の遮断

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 そういうと、昴は描きかけの絵に向かっていった。  そして、ため息混じりに、大きな声で言った。 「あーあ。『太陽の塔』を見にいきたい。あそこに行けば、元気100万倍になりそうなのに」  太陽の塔か……  連れて行ってやりたいのはやまやまだけれど、さすがに大阪は遠い……。  貴臣は、あることを思いついた。 「大阪は無理だけど、次の休みに一緒に岡本太郎記念館に行こうか」  昴は貴臣を振り返った。  表情がみるみる輝いてゆく。 「えっ、先生、本当?」 「ああ、行ったことある?」 「ないない。わー、やった!」  昴の屈託のない笑顔を見て、貴臣は今までになく、心が温かくなるのを感じていた。  自分はただ、昴のこの笑顔が見たいだけ。  ただ、昴の悲しむ顔が見たくないだけだ。  貴臣はそう自分を納得させようとした。
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