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〈subaru〉
なんで泣いたりしちゃったんだろう。
臣先生、俺のこと、めっちゃガキって思っただろうな。
だって……あんまりにも嬉しくて。
臣先生が「その才能を眠らせるのは惜しい」なんて言ってくれると思ってなかったから、もう完全に不意を突かれた。
それだけでも天井まで飛び上がりそうなほど嬉しかったのに、さらにさらに、岡本太郎記念館に誘ってくれて……
まさか、先生とデートできる日が来るなんて。
いや、もちろんデートと思ってるのは俺だけだけど。
その日のことを考えると、気分がハイになって、バク宙でもなんでも、できそうな気がする。
父親と喧嘩しても、今度は耐えられそうだ。
でも同時になんだか怖くもある。
これ以上、先生を好きになってしまったら。
この気持ちが抑えきれなくなったら。
俺、どうすればいいんだろう。
自分たちはあくまで先生と生徒。
俺がどう望もうと、それ以上の関係になれないことは分かっている。
でも……
そろそろ限界かもしれない。
崖の淵ぎりぎりのところで踏みとどまっている状態だから、指一本で押されてもすぐ、転がり落ちてしまいそうだ。
しっかりしなきゃ。
昴が何よりも恐れているのは、貴臣と会えなくなってしまうことなのだから。
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