第三章 急接近と突然の遮断

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〈subaru〉  ふたりで出かけた3日後の水曜日。  いつものように貴臣の家に向かう途中で、昴は画材店に寄り、油絵具が並ぶ棚を目指した。  貴臣に絵具をプレゼントしようと思っていた。 「うわ、2500円もするのか」  高校生にはけっこう痛い出費だ。 「でも、この間の記念館のお礼だから……」  色はコバルトブルー。  貴臣の部屋で、彼の油絵を観たとき、惹かれた色。  だからプレゼントしたかった。  昴が買った絵具で、また青が印象的に使われている絵を描いてほしかった。 「先生、喜んでくれるかな」  心躍らせながら、昴は貴臣のアパートに向かった。  
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