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〈takaomi〉
昴は午後4時過ぎにやってきた。
その表情は、今までで一番リラックスしているように見える。
貴臣に気を許している証拠だろう。
記念館で過ごした時間の余韻にまだ浸っているのかもしれない。
一方の貴臣は、昴の顔がまともに見られない状態だった。
この2日間、悩みぬいた。
でもやっぱり言わなければならない。
「もう、このレッスンは終わりにしよう」と。
だが、いざ本人を目の前にすると、決心が鈍る。
昴がどれほど落胆するかと思うと、胸がかきむしられる気がする。
「臣先生、この間はありがとう。それでね……」
昴がなにか言いかけたとき、貴臣は話を遮った。
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