第三章 急接近と突然の遮断

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〈subaru〉  貴臣の家からの帰り道、涙が止まらず、昴は道沿いの、誰もいない小さな公園のベンチでしばらく時を過ごした。  涙をぬぐうことも忘れ、声を立てずに泣き続けた。  もう6時を回っていた。  昼間は陽ざしがあって温かかったけれど、今はとても寒い。  でも、そんなこと、どうでもいい気分だった。  貴臣の一言は、昴を崖から突き落とした。 「今日でレッスンは終わりにしよう」  貴臣は淡々と言った。  なんの感情も交えずに。  問い詰める昴に向けられた貴臣の眼からは、何も読み取れなかった。  記念館で見せてくれた優しい眼差しとはほど遠い、人を拒絶する眼差しだった。    何を期待していたんだろう。  最近の彼があんまり優しかったから、つい誤解してしまった。  わかってたはずだったのに。  貴臣が、あの美しい人と付き合っているって。  昴はバックパックから包みを取り出した。  今日、行きがけに買った、貴臣への贈り物。  皺の寄った袋に入った絵具をそのまま、ごみ箱に投げすて、昴はその場から立ち去った。
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