第四章 ターニング・アラウンド

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 ***  その数日後のこと。  久しぶりに七海と食事することになった。 「(おみ)、ちょっとやつれたんじゃない? 悩み事?」  顔を合わせたとたん、七海は言った。  なかなか行く店が決まらず、クリスマス仕様の街をぶらつきながら、貴臣はぽつりぽつりと昴のことを話した。 「ふーん、ま、わたしは気づいてたけど。あの子が貴臣を好きなこと」と七海は言った。 「そうなのか」 「うん、前にすれ違ったでしょう、本屋のところで。でも、まさか臣のほうが参っちゃうとは思ってなかった。人の子だったんだね、臣も」 「ちゃかすなよ」 「あれこれ考えずに、付き合っちゃえば?」 「だから……そんな簡単に言うなって。相手は高校生だぞ。それも男子の」 「そう言うと思ってた。結構、頭硬いもんね。でも相思相愛なんだから問題ないと思うけど。相手が未成年でも」  七海はあっさり、そう言うと立ち止まって貴臣に向き合った。 「じゃあ、わたしたちがこうやって会うのは、今日で最後にしよう」 「いや……」  別にその必要はないだろう、と言いかけたが、七海が先に口を開いた。 「はじめから決めてたのよ。もし臣に好きな人ができたら、この中途半端な友人関係は解消しようって。でも、すごいな、その子。あっという間に臣を(とりこ)にしちゃって。わたしは4年かけても、振り向かせることができなかったのに」
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