第四章 ターニング・アラウンド

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〈takaomi〉 「おい、ん? 昴か」 「あ……臣先生」  そこにいたのは、雨に濡れて寒さに震えている昴だった。   「どうしたんだ、こんなところで……とにかく、中に」  貴臣は急いで鍵を開けた。 「ごめん、先生……。来るつもりはなかったんだけど。他にどこにも行くとこなくて……」  寒さで口がうまく回らないらしい。  いつもよりたどたどしい口調が痛々しい。 「そこに座ってたらドアが開けられないよ。ほら、立って」  手を伸ばすと、昴はおずおずと握ってきた。  その、あまりの冷たさに驚いた。    とにかく、早く暖めてやらなきゃ。  部屋に入るとすぐ、貴臣はバスタオルを出し、昴に手渡した。 「ひとまず、これで拭いて。今、風呂沸かすから」  玄関先でぬれた髪や服を拭きながら、昴は首をふった。 「いいよ、風呂なんて。拭けば大丈夫だし、すぐ帰るから」 「いや、そのままじゃ風邪ひくから。そんな状態で遠慮するなって」
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