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昴をその場に残し、貴臣は風呂場に向かう。
給湯式のユニットバスではないから、沸くまで20分ほどかかる。
着替えさせたほうがいいとは思ったが、とりあえず電気ストーブをつけ、もう一枚バスタオルを出して肩にかけ、その前に座って待たせた。
「あったかい。身体、溶けちゃいそう」
昴はオレンジ色に光る石英管に両手をかざして言った。
いったい、何時間、あそこで待ってたんだ。
聞きたいことは山ほどあったが、まずは少しでも身体を温めてやらないと。
と言って、未成年の昴に酒を飲ませるわけにはいかない。
牛乳でもあればいいが、そんなものは常備していないし。
「ちょっと待ってろよ」
貴臣はそう言うと、近くの自販機まで走り、コーンスープとココアを買い、上着のポケットに突っ込んだ。
とにかく、早く飲ませなきゃ。
家に帰るまでのほんの数分すらもどかしい。
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