第四章 ターニング・アラウンド

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「ごめん、迷惑かけて」 「迷惑だなんて、少しも思ってないよ」 「臣先生……」 「とにかく、もう遅いから今日は泊まっていけばいいよ。でも、家に連絡してからな。心配されているだろうから」 「……心配すればいいんだ、あんな親」  そう言って、昴は横を向く。 「昴。連絡しないなら、今からタクシーで家まで送る」  決然とした表情で言う貴臣に気圧され、昴は頷いた。 「……わかったよ」  昴のスマホはとっくに電源が切れていたので、貴臣は自分のスマホを貸した。    どれほど待ちわびていたのだろう。  ワンコールも待たず、昴の母親は電話に出た。 『こんな時間まで連絡しないで、いったい、今どこにいるの?』  スピーカーを通して、母親の心配そうな声が貴臣の耳にも飛び込んできた。  電話を代わって、貴臣も事情を説明した。 「ごめん。……うん。今日は先生のところに泊めてもらう。……うん、明日、帰るから。ん、じゃあ」  電話を切り、昴はふーっと息をついた。 「明日、お父さんは家にいる?」 「うん、日曜だからいるはず」 「じゃあ、俺も一緒に行くよ。お父さんとしっかり話しあわないと」 「えっ、先生が来てくれれば、めっちゃ心強いけど……でも、話しても無理だと思う」
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