第四章 ターニング・アラウンド

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 そこには、昴が描き尽くれていた。  笑顔、泣き顔、ふくれっつら。  アップ、横顔、全身。  そして、次のページをめくると、肩甲骨あたりから生え出た大きな翼のある後ろ姿が描かれていた。 「大事な俺の天使だから。昴は」  貴臣は微笑んで、言った。 「距離を置くなんて無理だって、このひと月で思い知らされたよ。昴は、俺が一緒にいてほしい唯一の人だ」 「臣先生……」  昴は潤んだ瞳を向けてきた。  キスを誘うように、彼の唇はほんの少し開いている。  理性はブレーキを引けと命じる。  でも、貴臣はそれを振り切り、昴の頬に手を伸ばした。  昴の瞳がかすかに揺らめき、伏せられる。  貴臣はなめらかな頬に触れたまま、片手で眼鏡を外し、テーブルに置いた。  コトッという音がやけに響く。  そして、顔を寄せて、顎を指ですくい、そのふっくらとした唇に口づけた。  好きだよ、と囁きながら。  軽く触れるだけのキス。  それでも、唇を離し見つめると昴の顔は真っ赤になっていた。  切ないほど愛おしさが込み上げてきて、貴臣はもう一度、昴を優しく抱きよせた。  
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