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「先生……」
昴は小さく呟き、貴臣の首に両腕を回した。
子どものように頬をすり寄せる昴の髪を優しく撫でながら、貴臣はベッドサイドの時計に目をやった。
すでに1時56分だった。
「もうすぐ2時だ。そろそろ寝ないとな。明日持たない。ベッド使えよ、俺はこっちで寝るから」
昴は顔を上げると、少し意外そうな表情でためらいがちに言った。
「一緒じゃ……なくて?」
貴臣は笑みをこぼして首を振った。
「いや。明日はお父さんとの対決だ。しっかり寝ておかないと」
少し拍子抜けしたような、でもほっとした顔で昴は頷いた。
「じゃ、じゃあ、俺がそっちで寝る。ベッドは臣先生が使ってよ」
「いいから、遠慮するなって」
貴臣は布団をはぐり、無理やり昴を寝かせ、明かりを消した。
「おやすみ」
少しの沈黙のあと、昴は小さな声で言った。
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