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「彼の絵は独特の魅力を備えているんですよ。塾の講師としてこの2年、高校生の描いた作品を多く目にしてきましたが、そのなかでも特出すべきものです。これから努力を続ければ大成する可能性を充分秘めていると、わたしは思います」
昴の父親は紅茶のカップをソーサーに置き、貴臣に視線を合わせた。
「いや、そうおっしゃられても……それは先生の個人的なご意見でしょう。保証も何もない。親としては、昴には着実な道を歩いてほしいんですよ」
会話はそんな調子で進み、お互い、平行線でなかなか接点は見いだせなかった。
それでも、貴臣は粘った。
はじめは、過度に思えるほど友好的だった昴の父親も、そのうちイラつきを隠さないようになってきた。
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