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父親の横に座り、心配そうな顔で議論の行方を見守っていた昴がとうとう口を開いた。
「先生、もういいよ。やっぱり無理だったんだ。父さんを説得するなんて……」
貴臣は昴に顔を向け、大丈夫だというように頷いて見せた。
そして、しっかりと父親を見据え、言った。
「では、こうしてはどうでしょう。昴くんの作品を全国学生コンクールに出品して、その結果、まったく評価が得られなければ、美大受験を諦めることにするというのは」
「いや、しかし、そんなことにうつつを抜かす暇は……」
「いえ、コンクール出品という目標ができれば、相乗効果で勉強も頑張れるのではないですか。もちろん、わたしのほうで絵に関してはサポートさせていただきますし」
「そう、おっしゃるけど……」
そのとき、それまで黙っていた母親が口を開いた。
「ねえ、先生がそこまでおっしゃってくださるのなら、お任せしていいんじゃないかしら」
父親は「お前は余計な口出しはするな」と母親を睨んだが、彼女はひるまなかった。
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