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あの雨の日以来、こうして何度、唇を重ねただろう。
だが今はまだ、キスが精一杯の愛情表現だ。
その先に進むかどうか……
どちらにしろ、それは昴の受験が終わってからのことだ。
そもそも、自分たちの関係は定義できないと貴臣は思っている。
信頼し合う師弟、年齢を超えた親友、恋人……
そのどれでもあり、どれでもない。
そもそも、カテゴライズをする必要はないかもしれない。
こうして共に時を過ごし、お互いが大切な存在であると認め合っていれば、それだけで充分だ。
***
必死でキャンバスに向かう昴の横で、貴臣は昴を描く。
これ以上の至福なんて、この世に存在しない。
そんなことを思いながら、端正な横顔を見つめていたら、視線に気づいた昴が微笑む。
窓辺から射しこむ光を浴びて、婉然と微笑む彼は、やはり天使でしかなく……
吸い寄せられるように近づく貴臣を見上げ、昴はそっと目を閉じた。
〈The End♡〉
*お読みいただき、ありがとうございましたm(_ _)m
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