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「なななな」
「フランク王子、お初にお目にかかります。ナタリーと申します」
目の前にナタリーが到着した。俺はこらえていた心の声を思わず漏らしてしまった。
「な、なんだこのブスはっ…!!!?!」
俺はどうしても我慢ができなかった。日ごろから我慢というものをしていなかった俺には忍耐など存在しないのだ。これは仕方がない。
「お、王子…」
その場にいた侍女や執事たちはなんとも重い空気に耐えきれず俺の次の言葉を皆待っていた。ナタリーの表情はわからない。あまりの醜さにもはやナタリーの顔を見ることができないからだ。
「ち、父上!!父上はどこだーー!!!」
俺はナタリーをその場に残して客間を飛び出した。
父は寝室で呑気にもソファーに腰かけコーヒーを飲んでいた。
「どうした?フランク」
「父上っ!!なんだよあの婚約者は!?」
「なんだ、何か問題でもあったか?」
「大ありだ!どこが絶世の美女だ…このイケメン王子である俺があんな…あんなブスな姫と結婚するなんて…!!これが恋愛小説だったら完全に設定破綻だ!!!」
父は飲んでいたコーヒーカップをテーブルの上にそっと置くと、ゆっくりと口を開いた。
「いいか、フランク。今我が城は財政難に陥っている。このままでは破産して庶民になりさがりだ。それでもいいのか?それに、ナタリーは家柄だけでなく性格もとてもいい子だ」
「そんなこと言ったってブスは嫌だ!嫌なものは嫌なんだっ!!」
「人は外見がすべてではないぞ。いい加減大人になれフランク」
「あんなブスと結婚するぐらいなら俺は家出するっ!!」
俺は部屋を飛び出し、更にそのままノリで城をも飛び出した。
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