14歳になったら

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「みなさん、今日から中学2年生です。」 私は今日新学期を迎え、中学2年生になった。新しい担任の先生は教壇に立って堂々と話している。 「中学2年生、14歳の誕生日になると、みなさんの目の色が染まっていくことはご存じだと思いますが、不安がらないでください。先生も14歳の誕生日前日、心配で心配で夜眠れませんでした。」 ほとんどの人間は、14歳になると目が染まる。その染まった色でこれからの人生が左右される。なぜかというと、目の色がその目の持ち主の性格や心の純白さ、普段の生活習慣や人間関係などを表すからだ。例えば、先生の目の色は青色、「誠実」という意味がある。きっと先生は周りの人に優しくして、「誠実」な思いで公務員目指したんだろうな。 私の誕生日9月15日、2学期の始まりの方。9月は誕生日の人が多いイメージだから、馴染みやすいかも。 「では、この短冊に自分の誕生日と今年度の目標を立てて書いてください。提出は今日の放課後まで。質問ある?」 教室には小鳥の声だけが響く。 「ないですね、じゃあよろしくお願いします。」 今年の目標か…。全く考えてないけど、あったら1年間の計画立てたりできる。 色々考えた末、去年度は入ってなかった部活を頑張ってみることにした。ちなみに希望は美術部。まったりゆっくり自分のペースで作業を進めれそうだし、運動系みたいに体を動かすことがないので、怠惰な自分にぴったりだと思った。 私は短冊に目標を簡潔に書いて、すぐ提出 9月14日23時55分。 あと5分で15日になります。 私の目は何色になるのかな? 実は、中学2年生になってから、好きな人ができた。 私の好きな人は、綺麗な紅色の瞳をしている。他人からすると、真っ赤な紅色の瞳なんて驚かれて距離を置かれるかもしれない。でも全然そんなことはなくて、成績は抜群、スポーツ万能、コミュニケーションを取るのがうまくて友達は多い。でも少し抜けてるところがある。そんな紅色の瞳に私は恋をした。私も紅色の瞳になれば彼と同じになれるのにな。 そういえば、紅色の瞳の意味ってなんだろう? ずっと考えたことも、調べたこともなかった。 ただ、ただ綺麗だなと見てた。 _00:00 9月15日だ。 すぐさま自分の瞳を確認しようと鏡を見た。 私の瞳は桃色に染まっていた。 「………あぁ」 分かってたけど。ね? 彼と同じ瞳になれなかったなぁ。 さぁ、桃色の瞳の意味は何?素早くスマホをタップして結果を待つ。 『_桃色の瞳には「盲目」という意味があります。恋愛や自己主張など、全く周りに左右されず、盲目的な人が桃色の瞳を持つと言われています。』 盲目……。 そういえば、私は恋愛に対して盲目的かもしれない。 でもそうだっていいでしょ?たった一人のひとを愛せているなんて、素晴らしいことでしょ、ねぇ。 私は彼の色に染まっていくの。 俺は、紅色の瞳を持っている。 紅色の瞳の意味なんて、ネットでいくら検索しても出てこなかった。でも1つ分かったことがある。 俺は、人の心が読めるようになっている。 テストの問題内容だって、クラスの誰かが話すいじめられっ子への悪口だって、俺を好いている女子やその理由だって分かった。 そのおかげで俺は成績は抜群、スポーツ万能、コミュニケーションを取るのがうまくて友達は多い、なんて完璧男子になってしまった。 そろそろバレてもいい頃だが、わざと抜けているとこを出すことで少しでも自然になるよう努力して『自分』を作っている。 でも、1つこの瞳の嫌いなところがある。 それは、人の心を読むことで恋愛が出来なくなってしまっていること。 恋愛っていうのは相手が何を考えているのか分からない、あの人は誰のことが好きなんだろう、好きなものはなんだろう、どんな人がタイプなんだろう。そんなドキドキから生まれるものだと思う。だけど、心を読めるとそれが全部わかってしまう。だからドキドキなんて一切しない。 しかし周りには俺のことを好いている女子がいる。明日、15日_瞳の色が変わるらしい。緊張している様子だった。 どうせ俺と同じ瞳になればいいとか思ってるんだろう。 でも少なくとも俺の周りには同じ瞳を持ったやつはいない。 さぁ、君は俺の色に染まってくれる?
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