【言の葉の欠片《2》】

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【グルメ】 僕はグルメ家だ。 美味しいと噂がたった店には必ず行き食して僕なりの採点をする。 あの店はB判定。 あの店はC判定。 といった具合にだ。 ところが僕の舌を唸らせるA判定の店には、ついぞ、出会う事がなかった。 もう、何処の店にも行きたくない。 そうボヤキ、公園のベンチに座っていた時だった。 虹色の羽を持った小さな妖精が一粒のアーモンドを抱えて、僕の肩に舞い降りた。 「お兄さん、どうぞこのアーモンドを召し上がれ♡」 僕は、は?……と思ったが、妖精からアーモンドを受け取ると自分の口に放り込んだ。 するとだ。 何という事だ!! 素朴であるが故のアーモンドの香ばしい味わい!! 僕は思わず妖精に訊いた。 「このアーモンドは、何処で手に入れたんだい?」 妖精は応えた。 「あら?この世の中に、たくさんあるわよ?」 そんな筈は……。 と僕が思った瞬間、妖精は姿を消した。 このアーモンド。 僕の判定は、勿論……。 A判定だ!!!! (2022年11月29日)
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