【言の葉の欠片《2》】

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【響鳴】 僕は君の顔を知らない。 そして君は僕の顔を知らない。 うん、それでいいんだ。 君と僕は遠く離れて会えなくても、こうして響鳴し合っているのだからね? それはそうと。 君は、あの軍団からやっと抜け出し独りで『何か』から奮闘していたのだと最近、知った。 あの軍団が奏でるメロディはゴテゴテチャラチャラしていて……僕からしたら不調和音でしかなく不愉快だった。 その事に漸く君も気付いたのかな? 今まであ奴らの子守り……お疲れさん。 どうだい?気分は? 奏でるには最高の環境に今、君はいるのだろ? 僕はとうの昔に、あ奴らから突き放されて ずっと独りで奏でてきた。 勿論、あ奴らにきかせる僕のメロディは無いのだけど。 念の為、あ奴らにはきこえない様に遮断はしておいた。 もう関わりたくないからね? あ奴らは平々凡々と……のらりくらりと平和ボケしたメロディを奏で続ければ良い。 けれど。 君と僕は違う。 相見える訳にはいかないが、君と僕のメロディラインを重ねてごらん? 上手くハモっているだろう? 素晴らしいメロディへと変換されているだろう? 君が、やっと独りになったからだよ? 判るかい? 君と僕は響鳴し合っているんだ。 僕は君の顔を知らない。 そして君は僕の顔を知らない。 うん、それでいいんだ。 (2022年11月26日)
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