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「何か、体調が悪いようですけど、彼女……」
努めて平穏に質問した。
「いや、別に。あんたには関係ないよ。この娘が具合悪そうだったんで、介抱しようと思っただけ」
1人が応える。
「知り合いですか?」
「いや、通りすがり」
「てか、ついさっき知り合ったから、もう知り合いっちゃぁ知り合い」
もう一人が頭をかきながら言った。ニヤニヤしている。
「じゃあ、私が対応します。同じ女性なので」
雅がそう言うと、男達は目つきを鋭くする。
「そう? じゃあ、俺らも一緒に行こうじゃないの」
「あんたもけっこういい女だしな」
「どうせなら、俺らの所においでよ。楽しませてあげる」
口々に男達が言い、雅を値踏みするように見た。
わぁ、けっこういい女だって……って喜んでる場合じゃない!
自分で自分に突っ込みを入れながら、雅はキッと男達を睨む。
「この先に交番があるから、そこに連れて行きます。一緒に来るならどうぞ?」
雅がそう言うと、一人が彼女の腕を掴んできた。
「冗談じゃないよ。そんな面白みのないとこ行ってもしょうがないじゃん?」
ニヤついた顔を近づけてきたので、雅は彼の腕を掴み返し、逆に捻って肘関節を極めた。
「い、痛えっ!」
男が叫び、他の2人が血相を変える。
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