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 「おい、ふざけんじゃねえぞ、この野郎っ!」  片方がつかみかかってきたので、その膝に向かって横蹴りを放つ。たいして力を込めてはいないが、場所が場所だけに男は「ぎゃっ!」と叫んで尻餅をついた。  もう片方も慌てて駆けよってくる。雅は関節を極めていた男をいったん放し、その脇腹に膝蹴りを叩き込んだ。  その男は「うがっ!」と呻き声をあげながら前のめりに倒れる。  更に駆けよってきた男には後ろ回し蹴り。踵が見事にみぞおちを直撃し、男は声もあげられずに崩れ落ちた。  「そっちこそざけんじゃねえっ! レディに向かって野郎とは何だっ! 3人まとめて埠頭から海に捨ててやろうか?」  雅が怒鳴りつける。しかしすぐにハッとなり、口に両掌を当てた。  い、いけない。言葉遣いには気をつけないと……。  倒れた男達が「?」といった顔をして彼女を見上げる。  「と、とにかく……」気を取り直す雅。「この女性は私が保護します。文句あるなら、浜波警察署にどうぞ。私はそこの捜査課の刑事です」  とたんに男達は息を呑んだ。そして慌てて立ち上がる。  「け、刑事かよ?」  「やべえっ!」  膝や腹部を押さえてよろめきながらも、男達はそそくさと退散していった。  ええと……。
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