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それからのお話
愛子さんは、私が日本に戻って数ヶ月後にトロントに戻っていた。
Facebookを通じて連絡が来た。
もちろん、住んでいるのはあの家で、トムとは相変わらずの仲らしい。
らしい、と書いたのは、その日以降連絡があったのは2回くらいで、そのあとは音信不通だから。
今日の今日まで、結婚したのかどうかも、私は知らない。
お嬢様は、私が帰国してすぐあの家を出た。
Facebookでは繋がっていたので分かったことだが、すぐにトムなんかよりイケメンの彼氏ができていた。
トムの時以上に、その彼氏とくっついて楽しそうだった。
でも、それからどうなったかは、私は知らない。
…………便りがないのは元気な証拠、とはよく聞く話なのだが。
せめて、巻き込んだ人間に自分達がどうなったかの近況報告は、あってもいいのではないかとも思ったが。
でも、これもまた縁なのかもしれないと思うようにした。
繋がるべき時に繋がり、切れるべき時に切れる。
私と彼らの縁は、確かにあの2011年〜2013年の間に繋がり、それからは切れたのだ。
私が、彼らのこんがらがった恋愛模様を解くためだったのかもしれない。
私に、浮気の恐ろしさを教えるためだったのかもしれない。
解釈の仕方でどうにでもできる話だが、1つだけ確かなことはある。
この出来事は、私にこのエッセイを書かせている。
10年後の1月に。
これは、10年前の私の誓いを思い出せたこと、10年間書くことをやめなかったこと、何より10年後の今何事もなく私が生きていることができたから生まれたもので、これもまた縁なのだと思っている。
ただ。ただただ。
最後にどーしても、一言言いたい。
やっぱり、近況報告くらいは欲しかったんだけどな。
四角関係の関係者たちよ。
自分達だけのことを気にしているのかい?
と言いたくなるくらいには、やっぱり解せぬ出来事だったりするのだ。
おしまい(であってほしい)
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