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そもそも、何故トロントに行ったのか
正直に言おう。
当時の私は彼氏がいない歴=年齢の典型的なタイプ。
少年漫画発のキャラクターに本気で恋焦がれたこともあり、妄想を夢小説という形で発信したこともあった。
それだけで満足していれば良かったのに、何故か私は満足できなかった。何故だ、当時の私よ。
そんなこんなで、とにかく私は彼氏という存在が欲しかった。
彼氏がいない私は、人生で負け組だと、本気で信じていたのだ。愚かにも。
恋愛小説も漫画も、もうこの頃の私を満足させることができなかった。
生が、欲しかったのだ。
だが、私は物心ついた頃から「変人」「不思議ちゃん」と言われることが多く、所属していたコミュニティで彼氏を見つけられる可能性は限りなく0だと諦めてもいた。
自分の良さを見つけてくれないなんてクソだ、と粋がってもいた。
そしてきっと、これが私が「ぶっとび人間」と言われ続けた原因でもあるのだが……私はこう思ってしまったのだ。
「そうだ、海外に行こう」
これは、「そうだ、京都に行こう」すら実行したことがなかった私が、ミーハーにも当時好きだったフィギュアスケート選手がトロント出身だったという理由だけで、英会話できない、海外の文化まるで興味がないにも関わらず1年半もの間トロントで生活し、彼氏を見つける代わりに恋愛トラブルに巻き込まれる、嘘のような本当のお話。
とりあえず、私の2013年の正月を今すぐ返せこのやろー。
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