大和撫子

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大和撫子

 端的にいうとこういうことらしい。  美味しいご飯を作ってくれるし、一緒の買い出しが楽しかった。  自分の元カノや隠し子の話をしても、ニコニコと聞いてくれた。  自分の全てを、受け入れてくれた。  ……これらを聞いて私が思ったことはこれだった。 (大和撫子を男が好むと聞いていたけど、本当だったとは……)  男を立てて、自分を隠す女。  そういう女を、好む傾向があるらしいことは「彼氏作りサーチ」のために熟読した恋愛指南書の数々から推測はしていた。  でも正直、「ドリーム小説かよ」と突っ込んでしまったくらいで、本気にはしなかった。  そして気づいた。  私が何故、彼氏が出来なかったか。  そして、お嬢様が愛子さんに負けてしまったのか。  この、大和撫子風が、私もお嬢様にもなかったのだ。  お嬢様はとにかく、自分第1に見てくれなくては気が済まないらしく、トムの元カノの話をする度に喧嘩になっていたらしい。  怒る時も泣く時も全力。  それを、年上のトムが受け止める構図になっていたそうだ。  それが、愛子さんの場合は逆だった。  愛子さんとトムは年齢が近しい。  その場合、女の方が精神年齢は上になるケースがある。  包容力がある愛子さんに、トムが甘えることができる。  これこそが、トムが愛子さんじゃないとセックスができなくなった理由だったのだ。 (愛子さんだって、別に平気じゃないんだけどな……)
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