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叶わなくても※微BL
空音さんには「少しだけ期待していた」で始まり、「それだけで充分」で終わる物語を書いて欲しいです。できれば6ツイート(840字程度)でお願いします。
*
少しだけ期待していた。
隣に住んでいる幼なじみが彼女と別れたと聞いた時、俺を見てくれるんじゃないか……と。
でも俺なんて恋愛対象外だろう。
だって俺と幼なじみは同性だから。俺は物心が着いた時から幼なじみが好きだった。彼以外好きになったことがない。
けれど、この恋心を明かしたことは無い。
早い話、嫌われたくないのだ。臆病な俺はその心を封印して、隣の幼なじみの部屋と隣り合わせの窓を開け、おーいと叫んだ。
数秒後「なんだよー」と声とともに向かいの窓が開いた。
「よう、瞬。みかちゃんと別れたんだって?」
少しだけ淡い期待を抱きながら、敢えて揶揄うように言った。
「うっせーよ。急に薫が呼ぶと思ったら冷やかしに来ただけか?」
寝癖が着いたままの瞬はフンッと鼻息を荒らげた。
「ちげーよ。慰めに来たんだよ」
「ほんとか?」
こうやって窓越しに話すのは久々だ。
階段を降りて、外に出て話せばいいのに俺らは窓を開けて大声で話す。窓という1枚を隔てることで俺は理性を保っている。同じ部屋で話すと俺は本能のままに瞬になにかしてしまいそうだからだ。
「みかとはさー、2年付き合ってたからやっぱりつれぇわ。しばらく恋愛は勘弁かな」
窓のサッシのホコリをツーっとなぞりながら瞬はボヤいた。そして人差し指を見せてくる。
「見て、真っ黒」
「汚ぇよ」
「ティッシュくれ」
ハァと息をつき箱ティッシュを渡す。窓と窓は近いのでもののやり取りは容易なのだ。
「薫は? 好きな子いない?」
1枚抜き取って箱ティッシュを俺に返しながら何気なく尋ねてきた。
胸の奥がチクリと痛む。俺が好きなのはお前だ。それが言えたらどんなに楽なことか。
「んー、分からん。大学には居ないかな」
ズキズキとする胸の痛みを抱えながら笑みを浮かべた。
「面食いめ。でもまぁ、しばらく女の子はいいかな。薫、今度旅行行こうぜ。やっぱりお前とが楽だわ」
胸の痛みがほんの少し和らいだ。何気ない一言に俺は傷ついたり、傷が癒されたりする。
「失恋旅行か? いいぞ付き合ってやる」
ふっと笑って「わりぃ、お袋が呼んでる」と嘘をついた。
「またな」
窓をピシャッと閉めた。
アイツからしたらただの男友達だけれど。
今は瞬の傍にいられるだけで、今はそれだけで充分。
*
久々の1から即興。イマイチ納得いかず……
ほんの少しだけ加筆しました。後誤字脱字直した。
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