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君と一緒に死ねるよう
僕は毒薬を、ふたつ、用意したよ。
たったひとつ飲むだけで、1分で死ねる自殺用の薬を準備した。
それを彼女に伝えると、彼女は喜んで飲水を用意してくれた。
「飲みやすいように、水の中に溶かし込んだわ」
「ありがとう」
彼女は毒薬の溶かされた飲水の入ったグラスを僕と自分の前に置いた。
その横には、毒薬の入っていた袋がふたつ転がっている。
「じゃあ、いだきます」
僕と彼女は一緒に、毒薬の入った水を一気に飲んだ。
ごめんよ。
実は僕は、その毒薬の抗体を持っている。
普通の人間ならば、たったひとつ飲むだけで死ねるけれども、僕はひとつ飲むだけでは死なない。
1分後、この世を去るのは君だけなんだ。
「あ…れ………?」
しかし、1分後に体調に異常を感じたのは僕だけだった。
彼女は、何の反応もない。
「ぐ ぅ…っ、何で、君、は……っ?」
何故彼女は毒薬を飲んで平気なのか?
何故僕はこの毒薬に抗体があるバズなのに、効いているのか?
毒薬の袋は、確かにふたつ、開けられている。
何故………
「ごめんなさい。
私はあなたと一緒に死ぬ気なんてないの」
意識が薄れていく中、ああ…彼女に毒薬を預けたのが失敗だったと、心から後悔した………
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