第16話 価値観の違い

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「え、カナンはこの格好がしたいってこと?」 「それもそうだけど、接客がまたすごいらしいのよ」 「それは写真じゃちょっとわからないのかしら」  あれは実際に行ってみないとわからないと思う。  あんな世界があるんだと、私は私でカルチャーショックを受けた。 「あれでしょ、お店に入ったときにメイドさんから『おかえりなさいませ、ご主人様』って言われるんだよね?」 「なにそれ、どういうこと?」 「それがメイドのキャラクターだと思っておけ」 「私たちはご主人様じゃなくてお嬢様だったよ」 「そっか! 女の子のお客さんだとそうなるんだね」 「つまり、店員さんがメイドになりきってもてなしてくれるってことね」 「メニューとかもなんかすごいって聞くよね」 「普通の喫茶店だとは思わないほうがいいんだろうな」 「ねぇねぇ、莉亜、ちょっとやってみてよ」 「やだよ、カナンがやりたいんでしょ」  ここのみんなならそんな無茶振りはしないって信じてたのに、カナンだけは例外だった。  普通、リクエストするなら男の人のはずで、今だって男性陣はみんな苦笑いを浮かべてくれているのに。
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