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「え、カナンはこの格好がしたいってこと?」
「それもそうだけど、接客がまたすごいらしいのよ」
「それは写真じゃちょっとわからないのかしら」
あれは実際に行ってみないとわからないと思う。
あんな世界があるんだと、私は私でカルチャーショックを受けた。
「あれでしょ、お店に入ったときにメイドさんから『おかえりなさいませ、ご主人様』って言われるんだよね?」
「なにそれ、どういうこと?」
「それがメイドのキャラクターだと思っておけ」
「私たちはご主人様じゃなくてお嬢様だったよ」
「そっか! 女の子のお客さんだとそうなるんだね」
「つまり、店員さんがメイドになりきってもてなしてくれるってことね」
「メニューとかもなんかすごいって聞くよね」
「普通の喫茶店だとは思わないほうがいいんだろうな」
「ねぇねぇ、莉亜、ちょっとやってみてよ」
「やだよ、カナンがやりたいんでしょ」
ここのみんなならそんな無茶振りはしないって信じてたのに、カナンだけは例外だった。
普通、リクエストするなら男の人のはずで、今だって男性陣はみんな苦笑いを浮かべてくれているのに。
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