サンタだって、ドライブスルーを使う

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サンタだって、ドライブスルーを使う

「いやあ、今年もいい子ばかりだといいねぇ」  今日はクリスマス。  サンタは、人力ソリいっぱいにプレゼントを積んでいました。  これを、子どもたちへと配るのです。 「ですねえ」  人力ソリを引くトナカイくんも、サンタに相槌を打ちました。 「そうだ。今のうちになにか入れていこうよ。お腹が空いてしょうがないよ」    サンタの腹が、ぐうと音を鳴らします。  夕方から出発して人里まで長い時間をかけたので、腹ペコでたまりません。 トナカイくんも、おなじくぐーぐー。    ここまで遅くなったのは、オミなんとかというアレの検査をしたせい。  高齢者が多いため、出歩けるサンタはもう一握りです。  サンタは、外出できなくなった別のサンタのために、去年の倍は仕事をすることに。  去年はこの三倍でしたから、まだマシですが。 「今ってさ、グラタンコロッケバーガーってやってるよね?」 「いいですね!」 「じゃあ、ドライブスルーにしようよ」  サンタは、ドライブスルーを提案してみました。  ですが、トナカイくんは難色を示します。   「でも、ウチ人力のソリですよ? 受け付けてくれますかね?」 「トナカイくん、そこは大丈夫なんだ。行ってみればわかるよ」  サンタに言われたので、トナカイくんはドライブスルーへ。 「すいません。ウチ、ソリなんですがドライブスルーって可能でしょうか?」  トナカイくんが、恐る恐るスピーカーに語りかけました。   「はい。承っております」  OKとのこと!    振り返ったトナカイくんに、サンタは親指を立てました。  では、グラタンコロッケバーガーを買って、お空で召し上がることにします。 「いただきまーす。うん、うまい!」  熱さにもがきながら、サンタは白いヒゲをホワイトソースでさらに白くしました。  グラタンコロッケバーガーを、サンタは毎年楽しみにしています。    以前、『グラタンコロッケなんて全部小麦粉だ』なんてSNSに書き込みしていた悪い子がいました。  サンタは、その子にはプレゼントをあげませんでした。代わりに、その子の顔に熱々のグラタンをかけて起こしてあげたのです。  それ以来、サンタは小麦粉のドレイとなったのでした。   「相変わらず、最高ですね!」 「でもちょっと、熱いね。ハフハフ」  猫舌のサンタは、いつまでもフーフーしていました。  ポテトを間に挟んだりしています。これまた熱くてフーフーしました。 「だらしないですね。お先に失礼しますよ」      がぶりと、トナカイくんが一気にグラタンをかじります。 「あっつい!」  なんと、トナカイくんのお鼻の先にソースが溢れ出しました。  熱い食べ物が平気なトナカイくんでも、皮膚までは耐えられません。 「痛いです、サンタさん」 「ガッつくからでしょうに。ほら、拭いてあげるから」 「すいませーん」 「あーあ。こんなに赤く腫れて」  トナカイくんの赤いお鼻は、ヤケドだったのでした。
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