エッセイ解禁

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※注:このお話はフィクションです。 「エッセイ解禁」 ダーー、手を出してしまった。 これ以上、睡眠時間を削ってどうすんだ。死ぬぞ、私。 でも、書かずにいられない。つぶやきじゃ収まらないんだー。 と言う事でエッセイ? 日記? ただの愚痴? まあいいや何でも。 思っている事をただただぶちまけていきたいと思います。 エッセイ解禁です。うん、まえまえから、つらつらと書きたいとは思ってたんだ。 誰に向けてと言う訳じゃなく自由に。 そうだそうだ、私自由だー。書いちゃえ書いちゃえ、どうせ誰も読んだりしないさ。 と言いつつも、一応、語りかける程で書いてくかエッセイだから。そうしよう。 えっと、私、鷹見香那(仮名)女、26歳、只今ここ、都内のドラマ制作会社の一室にて一人、時間26時30分、コピー機の前で明日の撮影のためのロケ稿印刷中。 ガシャコン、ガシャコンとコピー機が頑張ってくれております。 ほんの一息、休憩をとり、スマホでこのエッセイを打ち込みます。 あ、コピー機が止まりました。赤いランプが点滅。 物音ひとつしない部屋にちょいビビります。 「頼むよコピちゃん」と私は呟いて、重い体を上げました。 (体重が重いわけじゃないですからね) 「あ、お腹がすいたのね。ちょっと待ってね。今、A4の紙入れてあげるから。よいしょっと、はい、どう? おいしいでしょ。頑張って」 コピちゃんが頑張ります。 うちの会社のコピちゃんは結構優秀です。 原稿をまとめて入れると、両面コピーしたあと、冊子の形になる様に紙を並べホッチキスまでして冊子を作ってくれます。えらいぞコピちゃん。頑張れコピちゃん。ファイトだコピちゃん。 と、応援しなだめ、そして祈る様な気持ちで見守ります。 だって、ご機嫌ななめになると、紙詰まり格闘地獄がやって来て、ほんの束の間の休息が、修羅場にかわり、私とコピちゃんの喧嘩が始まるからです。ひとしきり喧嘩をした後、いつも最後に 「コピちゃん、ごめん。私が悪かった。コピちゃんがいないと、私やっていけない」 泣くのは私で、悲しくともそう言ってコピちゃんのお世話をせっせとしています…… だから、今日はえらいぞコピちゃん。 私は出来上がったロケ稿を一部手に取って、背面に記載されたスケジュール表を眺めました。7時撮影開始です。女優さんは1時間前に入って来ます。私はその準備も兼ねて30分前には着かなくてはいけません。ここからロケ現場までロケバスで30分。つまり5時集合です。 えー、只今26時45分、コピちゃんが頑張れば、あと15分でスタッフ全員分のロケ稿60部完成しそうです。頑張れコピちゃん。イケイケコピちゃん。ファイトだコピちゃん。 こうしてまた、今日と明日の境目のない日が過ぎていきます。
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