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「ぷふあー」
龍瑯は市街地の歓楽街の端っこにある、自称我が家で紫煙をくゆらせていた。
すると、玄関の方でガシャガシャと戸が揺れ出した。そしてすりガラスの向こうには緑色のヤツの姿があった。
「なんだ?」
渋々といった様子で、鍵を開けると、戸が勢いよく開き緑色のやけに装飾品の多い悪魔が、目を丸くして固まった。
「おい、人のアソコ見て固まるんじゃねえ」
「何で全裸なのさ。裸族かい?」
「来客の予定があったら服ぐらい着るっての」
「ほら来客だよ!服を着ておくれよ」
「ったく、朝から騒がしいなコイツは」
服を着る気がないのか、龍瑯はビールを入れる木箱に腰掛けた。
「ここは買ったのかい?」
「いや、空いてたから使ってるだけだ」
「不法占拠か。オイラが買ってやろうか?」
「あ?金くれんのか?マジかよ。昨日から中々ついてるぜ」
虎壱實龍瑯は強盗殺人事件で有罪、死刑となった。これは紛れもない冤罪である。しかし、彼は無実では無い。無実どころか極悪人である。皮肉にも彼を冤罪に追いやった、連続婦女暴行殺人事件の犯人こそ彼なのであった。
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