桃 25歳 冬

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桃 25歳 冬

大学を卒業し、資格をとった桃は就職。 そろそろ一人暮らしを考え始めていた。 同時期に、僕は会社の同僚である女性と距離が縮まりつつあった。 しかし、娘がいる手前なかなかそれ以上踏み出せぬまま半年が過ぎようとしていた。 桃にも彼氏ができたらしく、今度紹介してくれるという。 そんな桃は 「ねぇ、パパは再婚しないの?」 「彼女は?いないの?」 「一人暮らしさせるの心配」 と言い出す始末。 それは、嬉しくもあり、寂しくもあった。 まだ、交際相手、という程の関係性でもなく紹介するのもなぁ、とうだうだしていると、彼女は痺れを切らしてきたのか、僕に本心を確かめにきた。 好意は持っているし、一緒にいると楽しいのも事実だ。 それでも、優先順位となると、桃になってしまう。 そのことが彼女には申し訳なく思ってしまうので、距離をおいてしまう。 彼女はそれも含めて僕のことを好きだと言ってくれる。 僕の性分なのか、そこに甘んじることができなかった。 せめて娘が独り立ちするまでは。 それはいつ? いつとは約束できない。 女性にはどうしてもタイムリミットがつきまとうし、こればかりはどうしようもない。 僕は子供は桃がいればそれでいいと思っているし、そこまでつきつめて話し合うような関係にまだなっていなかった。 彼女の気持ちに応えられる自信がない。 妹は真面目だなぁと僕を笑った。 「ねぇ、パパ、、あ、ちがう、お父さん」 「ん?」 「桃ね、、あ、違う、私ね」 「あ、うん」 「お父さんに彼女できたらいいなって思ってるよ」 飲んでいたコーヒーを吹きそうになった。 勘の鋭い子だ。 「あ、私のお母さんになって欲しいとかそゆんじゃなくてね」 「あぁ、うん」 「お父さんが心から好きになった人がいたら、私に遠慮とかしないでねって話」 桃は全てお見通しだ。 参ったなぁ。 桃に紹介しろと言われたので、彼女にその事を話すと、ものすごく嬉しそうにしていた。 けれど、やはり僕は時期尚早な気がしていた。 桃の一人暮らしが決まる。 色んな準備やら手続きやら諸々で忙しく、なかなか彼女に時間を割くことができなかった。 たまに会えたとしても、直ぐに帰らなければならないなど、辛い思いをさせてしまっていた。 それを回収しようと思った矢先、彼女から別れを告げられた。 僕は残念だと思う反面、どこかほっとしてしまい、彼女を引き留めようとはしなかった。 その日、桃にめちゃくちゃ叱られた。
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